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技術を磨くための学問

看護師として働かれている人であれば、実は学生時代に学んだ看護学が他の多くの学問と関連を持った総合的な学術であるということに気がついた人も多いのではないでしょうか。患者さんと接するにあたり、単に『業務』として看護をするだけでなく、患者さんの心理を理解したりするためにはある程度の心理学の知識がなければいけません。また、患者さんや自分の置かれている状況を社会的に見るためには当然社会学の心得がいりますし、患者さんの体調を推し量るためには生理学にも精通している必要があるのではないでしょうか。一般教養がなければ患者さんはもちろん、同僚の看護師や他の医療スタッフ、場合によっては介護スタッフと円滑なコミュニケーションを取ることができません。これら、ざっと上げたものだけでも、看護師としては不可欠な素養であるということがわかります。そうであれば、こうした知識を体系的に身につけておくことが、看護師としての技術を身につけるための大きな助けになるということがわかるでしょう。
看護の専門家である看護師にこんなことを言うのは、まさに釈迦に説法かもしれませんが、患者さんが看護師に求めるのは、患者さんの快癒と自立を支援することです。特に入院患者さんの場合は何らかの理由で自宅で療養することが難しい人たちです。この人たちが何を自分でできるようになれば家に帰れるのか、どのような状態になれば退院することができるのかなどです。また、どういった状況になれば通院する必要もなくなるのか、こうしたことを当たり前にできるためにはどうすべきかをしっかり把握して患者さんがそれをできるようになるようにお手伝いしなければなりません。
何にしても学術的な理屈を知った上で行う看護と、そうでない看護には傍目からもわかるほどに大きな違いがあるのです。看護師が看護技術を身につけるためには、単に現場で経験を積むだけでなく、現場で役立つ学問や人間学について深い知識が必要なのです。例えば患者さんが発熱した時に理由が何なのかを知らなければ、患者さんの体温を下げることはできません。そして、それを知るために必要なのは医学的な知識よりもむしろ生理学的な知識な場合が多いのです。
少しでも良い看護をするために、広い面での学問的な知識を身につけておくことをおすすめします。より幅広い知識を身につけておき、学生時代に学んだ看護学をどのように応用すればよりよい看護を行うことができるのかをしっかりと理解することができるからです。